今回は「うつ」の状態とは、どんな状態なのかをご説明させていただきます。
うつ状態とは、「ヒトに備わっている感情のプログラムが誤作動を起こしている状態」です。
“誤作動”とは、本来同時に発生しない感情が総動員されている状態を指します。
具体的にどういうことなのか?
総動員される感情は大きく分けて下記の5つです。
・悲しみ
・怒り
・不安
・驚き、興奮
・焦り
ますは、各感情の役割から説明します。
【悲しみ】
ヒトは悲しいことに遭遇した場合、多くの体力と能力が奪われます。
この場合、動物として生き延びるために、安全なところに引きこもることが必要です。
その為、活発な活動を抑えるため、本能は食欲を減らし、興味を減らします。
この生存本能の機能によるものが、悲しいときには食欲がなくなったり、興味が湧かなくなったりする原因です。
しかし、引きこもってばかりはいられません。
とはいえ、一人ではどうしようもないため、誰かに助けてもらう必要があります。
ここで活躍するのが“涙”と“ため息”です。
ヒトに組み込まれたプログラムとして、他人の涙を見たり、ため息を聞くと助けたくなる機能があります。
悲しいと涙が出たり、ため息が出るのは周りへの救難信号です。
ヒトはそもそも、誰かに頼るように出来ているんですよ!
【怒り】
自分の領域を守るために発動します。
うつで体力が疲弊している状態で相手から攻撃されるわけにはいきません。
周囲への警戒を万全にするためにこの感情が発動します。
【不安】
ヒトは鋭い牙や爪、硬い甲羅などを持っていません。
その為、生命の危機を回避するためにこの感情が機能します。
常に最悪の状況を繰り返し想像し、リハーサルすることでその状況に備えます。
また、動物として一番無防備な状態である「眠り」を回避します。
通常、疲れると眠くなるにもかかわらず。疲れ果ててしまうと眠れなくなるのはこの「不安」が機能しているからです。
【驚き・興奮】
突然の状況に対応する機能です。
暗闇でも目が見えるように瞳孔が開き、武器を握る手が滑らないように手に汗をかきます。出血に対応するため血管は細くなり、細い血管に大量の血液を流すために心臓がバクバク頑張ります。
あれこれ考えて動きが鈍くならないために思考を止めます。
緊張して頭が真っ白になるのはこのためです。
うつ状態になると疲労の為、薄く継続的にこの状態になります。
その為、頭が働かない中で仕事をしなくてはならず、「頭が回らない自分は無能だ」と感じてしまいます。
どうか、この本能の機能の為だと割り切ってください。
【焦り】
エネルギーが切れると動けなくなります。
その為、動けるうちに状況を変えたいという本能の急かず思いがこの感情です。
うつ状態でずっとソワソワするのはこのためです。
以上がそれぞれの感情の動物的な役割です。
うつ状態になると、本能がこの5つの感情に語り掛け、自分の体を守ろうとして同時に発動させます。
まさに誤作動です。
悲しい出来事がなくても、自分を守るために「悲しみ」が発動してやる気がでなくなったり、勝手に涙が出たり、
「悲しみ」が引きこもらせようとするけれど「焦り」が今のうちに動けと訴えてきたり。
だから、自分の感情がコントロールできない感覚に陥ります。
例えるなら、車のブレーキを踏みながらアクセルをふかしている状態です。
うつ状態の人が疲れ果てて動けないのには、このような理由があるのです。
そりゃ、疲れるはずですよね😔